第50回 地方自治経営学会研究大会
日付:2011年05月12日(木)、13日(金)
場所:明治大学アカデミーホール
主催者:地方自治経営学会
参加のねらい
現総務相の片山氏が学会長をつとめる地方自治経営学会。今回のテーマは震災復興・地方分権制度、社会保障と多岐にわたっており、最新の課題を学ぶために参加した。
震災復興に向けて
鳥取県知事時代の災害対策・片山氏講演より
- 今回の大災害は地方自治の重要さを再認識させた
- 災害復興にあたり何を一番重視すべきか
まちづくり、という視点はあるが100年先という視点は被災者にはもてない 目の前の人たちが安心・安定した生活に戻れるようにすることだけでいいのか そして、喫緊の課題:避難所における生活の質を高める、子どものケア・教育 - リスクを考えること 市の災害対策は一体どうあるべきなのか
- コミュニケーションをとるべき
- マニュアルの見直し(鳥取県はその当時昭和30年代のマニュアルだった)
- 訓練を行う 図上訓練 具体的な連絡先・事項を確認する。
ex.弁当屋、調達価格まで設定したホームセンターとの契約など - 早い初動が必要 臨機応変に対応できる内容の訓練となっているのか
パネルディスカッションより
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- 災害対策についての国と地方の話にギャップがありすぎる
- 義捐金の配布が遅い
- 自治体間の協力体制は素早く構築された
- 義捐金の給付などは行政職員は慣れている
- 心が折れないようにどうすべきか
- 働き場の確保
- 未来への展望を持てるよう
- 建築制限をかけられおり、債権できないなら、国が借り上げをすべきでは
- 直接生活支援ができる自治体職員の働き
- 被災地自治体は行政機能が停止しても自治は残る 首長の活躍が目立つが、その後のまちづくりを担うのは議会でも地域づくりの理念・思想は議会が行政に伝えるべきもの。
- 被災地において議会の活動はばらつきがある
首長と議会の対立
- 名古屋・河村市長の手法は民主主義を破壊するものである。(首長による地域政党など)しかし市民は既成政党にNOを突きつけており、圧倒的支持を得た。 首長による議会制圧の動きが支持を受けている ポピュリズムの現れ
- なお、今回の統一地方選挙は災害後にも関わらず、投票率は過去最低となり、政治というものに対しての重要さが認識されていない=議会不要論の表れではないか。
地方分権
- 地域主権論議は災害の前にかすみがち 民主党内にすらその空気が漂う
- お金と権限委譲の話だけに終始しているが、それだけに留まらせてはいけない
まとめ
- 災害時において議会が何ができるのか大変試された今回の震災でもあったように思う しかし、現実的に被災地議員の話を伺うと、現時点での対応に議会を加えているのかどうかは自治体によって様々である。 だがまちの復興の段階において、どういったまちにすべきかという意見集約においては議会の役割は大変重要なものがあり、この段階でいかに市民の声の代弁者となれるか。また災害前においてまちの防災体制づくりにおいてチェックの役割を果たすことも重要であり、今回の片山氏の講演による実践的な防災体制作りが必要と感じた。
- それにしても、今回の災害で大変政治の重要さを改めて思ったが、それは身内の認識だったようだ。再三指摘されたように、今回の統一地方選挙も投票率が最低となり、改めて市民の政治離れを表した。政治離れが議会不要論を加速させる。議会と生活がいかにつながっているか理解してもらう動きをとることが必要であろう。
- 地方分権は少しづつだが、進んでいる。しかしこれば首長の権限が増大することを意味しており、かかる状況の中で議会がいかにその存在感を発揮するかは文字通り、形だけでない議会の研鑽にかかっている。