第72回 全国都市問題会議:都市の危機管理 協働・参画と総合対策
日付:2010年10月07日、08日
場所:神戸市 文化センター
主催者:全国市長会・東京市政調査会・日本都市センター・神戸市
ねらい
鎌倉市では自治防災組織率は非常に高く、地域に根ざした活動を展開している。しかし自治会・町内会をベースとした防災活動は構成員が高齢化という課題を抱え、震災時に有力とされる自助の力を今後もいかに高めるかが課題とされる。
なお市内においては平成16年の台風時には尊い人命が失われ、災害対策の必要性を改めて浮き彫りにし、また昨今ではいわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨が頻発し、浸水対策の必要性も再認識された。
今回の全国都市問題会議は都市の危機管理をテーマとしており、災害対策、テロ対策、また新型インフルエンザなど都市への新たな脅威にどう対応するといった視点から各地の様々な事例報告が行われるとのことで、今後の鎌倉市の危機管理体制をどう構築すべきか検討するため参加した。
報告事例などから
神戸市
阪神・淡路大震災よりすでに15年が経過した。
- 自助の力が見直された震災により、防災福祉コミュニティの結成数はすでに100%。
しかし結成率の高さが防災・防犯などの地域活動に参加する市民の割合に直結しているわけではなく、いかに多くの方に参加していもらえるような仕掛けを作るか課題ではないだろうか。(「つながり」づくりと表現されていたが) - 一方で、震災復興計画の5年・10年の総括と検証作業では1万人市民アンケート、ワークショップなど広範な市民参画を得て施策への反映を行っている→共通体験と震災という契機により市民力が向上していることも感じる。
- 大枠の視点・国対応は、災害復興に関する法制度がない、都市の危機管理を総合的に推進するために地域への財源・権限移譲が必要と指摘されていた。
- 特記すべきは小中学校の耐震率が90数%の実施率ということであろう。
- 実質的な産・官・学のネットワークが構築 神戸安全ネット会議。
帰宅困難者対策・新型インフルエンザ対策・企業の業務継続計画についての意見交換。 - 平常時の備え→消防・災害時医療体制の充実や災害時要援護者支援対策の充実。
ボランティアネットワークとの連携強化・住宅の耐震化促進 地域防災拠点の対応。
宮城県・栗原市
平成20年の岩手・宮城内陸地震で被災。
- 一年前に市総合計画・防災計画を策定 ハザードマップも作成・配布。
しかし10~20%の市民しか認識していなかった→いかに周知を図るか。 - 市―県―国の連携が非常にスムーズに行えた。
- 地震後の主の防災施策。
- 孤立集落通信手段の整備。
- PCテレビ電話・エリア限定のワンセグ放送機能などのパッケージ化。
- 災害情報緊急ホットラインシステム。
- 地域ごとの特性にあった支援が必要。
岡崎市
平成20年8月末豪雨災害で被災。
- 観測点のない中小河川の監視体制の課題(ここで氾濫が発生した)。
- 市民のとるべき避難行動が、災害状況と合致しない(内水氾濫で避難自体が危険など)。
- 浸水常襲地区の住民への迅速な情報提供のあり方が課題。
- 浸水警報システムの整備。
- 浸水常襲地区の監視用に設置を進めていた浸水計を警報装置に連動させて地域住民にたいして浸水の危険を瞬時に知らせる。
- 住民要望で2段階の数値を設定してたサイレンの発報を行う。
- 自助・共助へのてこ入れ。
- 情報収集体制の構築 市内在住職員を地域防災連絡員として全小学校区に配置。
- 防災ラジオの導入
- エリアメールの採用
- 防災マップづくり支援事業
その他の発表より
- コンパクトシティが危機対応力向上の都市再生の契機となる。
- 住民減少と年齢構造のアンバランス解消・コミュニティの再生が地域相互支援を可能とするという視点からダウンサイジングを進め、分散化した人口や施設を都市中心部に再集積させる。
- コミュニティ構築を可能とする低層住宅の設置。
- 商業機能や医療・福祉のサービス機能の整備。
- 福祉住宅や地域コミュニティづくりの場の設置。
- 事業者のBCPは国内だけでなく、グローバルな視点を持つことが必要(国内の別地域の事業所と提携して、事業を継続させる契約の取り交わしの必要性)
まとめ
- ゲリラ豪雨の発生は各地で観測史上最高値を更新している。
土砂崩れや浸水地域への早急な対応が必要。 - 各被災地からは情報収集の困難性が叫ばれた情報収集体制の構築が必要(人的・機器)。
- 被災後の業務復旧計画の構築の必要性(神戸の迅速な対応は特筆すべき)。
- 自治防災組織の更なる活性化のためにはなにをすべきか。しかけづくり。
- 住宅耐震化促進 少なくとも家具の固定促す。