視察レポート(2007年02月)

地方は変わるか 自治体会計を問う

日付:2007年2月26日
場所:日経ホール
主催者:日本経済新聞社

視察のねらい

夕張市の財政破綻が象徴するように、自治体の財政を取り巻く環境は厳しい。財政実態を正確に把握し、行政サービスの優先順位付けを行うことが益々必要課題となってくる。鎌倉市ではすでにバランスシートの作成を行っているが、新たな基準に基づく会計制度が求められる中、いかに住民からの理解の得られる方法などを構築するかを再考するため。

内容

  • 「自治体経営を考える」鈴木修氏(スズキ㈱代表取締役会長)、宮脇淳氏(北大教授)など
  • 「プロが読み解く自治体経営」柿本与子氏(S&P公益事業格付け部アナリスト)、平嶋彰英氏(総務省自治財政局)など
  • 鈴木氏(浜松市行政改革推進審議会会長職)
    • 行政からの情報開示は極端に少なく、またいわゆる行政用語で理解促進を妨げている。そのためか市民の関心度も非常に低い。
    • 企業会計方式ではありえないどんぶり勘定が横行している。公会計が民間方式に馴染むかどうかの議論はまた別次元として、まずスピードをもって着手することが重要である。
    • ちなみに市議会の活性化も重要な課題の一つである。
    • 審議会、委員の数が異様に多い。浜松市では約1700名の審議会委員を抱える
    • 「国に準拠」がどこまで徹底されているのか。
    • スクラップアンドビルドが確立されていない
  • 穂坂氏(前志木市長)
    • 自治体経営の改革はある事業をどこが行うのが最適かを再考し、有償ボランティア等を取り入れた行政パートナー制度で行うべき→行政と市民の一体化・ローコスト化の促進につながる→市民参加予算の構築を行う
    • 構造改革特区申請によりシティマネージャー制度、収入役の廃止、市長の任期に併せた4年一括の予算+一年毎の実行予算という形式を提案してきた(採用はされず)
  • 柿本氏
    • 地方債の発行が自由化され、また資金調達も民公の割合が変化
    • 自治体からの格付け依頼が出てきた背景には、民間からの資金調達を可能とするため。
    • 海外からのニーズも大きい(来年より海外からの資金調達も開始される)
    • 基本的には国債と同基準の格付けと考えて間違いはない

所感

  • 自治体の財政破綻を回避するには市民の理解を促進できる言葉・内容で情報開示を積極的に行うことが必要(ex.全世帯への財政白書の配布やアンケートの添付の実施・バランスシートの改良など)
  • 客観性のある(比較対照のできる)基準が必要→現在東京都や国などが提唱しているスタイルは異なっているが、他自治体動向見極めつつも着手することが必要では?
  • 通常の行革では限界のある局面については?(PPPなどの手法も積極的に考慮すべき)
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