視察レポート(2006年02月)

近代産業遺産によるまちづくり

日付:2006年2月17日
場所:山梨県甲州市
主催者:関東若手市議会議員の会

参加のねらい

 

町に遺された近代産業遺産を有効に活用することによって、観光客誘致の素材づくり・周知の手法や、これらの構想づくりの経緯、現場視察を行うことによってその保存方法など現在甲州市が取り組んでいるまちづくり構想を学ぶ。

 

合併されたばかりの甲州市勝沼地域総合局職員によって、以下施設の視察研修を行う。
大日陰トンネル、トンネルワインカーブ、ワイン資料館、一龍憲セラー、ぶどうの丘

所感

まちづくりの構想の根本となったものは、町の随所に遺された特徴的な遺産。明治時代に中央線のために建設された煉瓦のトンネルは新トンネルの設置によってその役割を終えたが、建築物としてのトンネルは保存に値する程美しく、特徴的であった。また日本でのワインの発祥の地である勝沼エリアを抱える甲州市では、その歴史を垣間見ることのできる工場跡も多く存在する。

現在同市が持つ構想は、これらの近代産業遺産を観光資源として活用することであり、そのため、周辺散策ルートの設置、文化財の修復と復元・観光・産業施設として活用することを柱とし、またこの散策ルートをぶどうの歴史・鉄道の歴史・ワインの歴史と味などのパターンに分けて設定しようとするところが興味深いものであった。

また、市の運営する(以前は勝沼町)宿泊施設ぶどうの丘は国内でも有数の、黒字運営の公施設であることを初めて知った。ワインカーブ、温泉、バーベキューレストランなど複合的なアミューズ面を持たせたことで、成功したのではないかと感じる。観光資源自体で言えば、鎌倉市の方が多く持つはずだが、宿泊客の取り込みには苦労しているのが実情であるので、ぶどうの丘の取り組みは参考になると感じた。 また、前述の、トンネルを利用した、市営ワインカーブはすでに顧客で埋められていたが、大々的な周知は行わず、口コミだけに頼っている、という説明に愕然とした。こればかりは、その口コミが上手い方向に動いたと解釈するほかはない。しかし、今後抱える課題としてはやはり財政的なものであろうか。合併後の特例債が出されるというものの、全てをこれらのプロジェクトに使用できるものではない。しかし、職員の方の熱意は高く、大きな求心力を持つプロジェクトに育つ可能性は大きいと感じた。いずれにしても、近代産業遺産という、目新しさを感じさせる素材を利用したプロジェクトは可能性の大きさを感じた。

 

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